先日、愛媛県松山市で開催されたRubyの国際カンファレンス「RubyKaigi 2025」に弊社バックエンドエンジニアが参加してまいりました。
本記事では、RubyKaigiの概要から、delyのブース出展の様子、注目したセッション、そして懇親会での交流まで、現地の熱気を余すことなくレポートします!
RubyKaigiとは
RubyKaigiは、プログラミング言語Rubyに関する世界的な技術カンファレンスです。Ruby言語処理系の深い部分にまで踏み込んだ議論が交わされるのが特徴で、Rubyを徹底的に理解したいエンジニアにとってはまたとない機会となります。
Rubyの生みの親である、まつもとゆきひろ(Matz)氏をはじめ、国内外の著名なRuby開発者が集結し、最新の技術動向や今後の展望について熱い議論が繰り広げられます。
また、多くの企業がスポンサーとしてRubyKaigiを支えており、各社のブースでは、技術紹介やユニークな催し、魅力的なノベルティグッズの配布などが行われ、参加者同士の交流を深める場ともなっています。今年は地方都市である松山での開催ということもあり、地域ならではの魅力を感じることもできました。
参加の目的
弊社がRubyKaigi 2025に参加した目的は、大きく分けて以下の4点です。
1. テックカンパニーとしての認知向上
- バックエンド開発にRuby on Railsを全面的に採用しているdelyとして、Rubyistが集う企業であることを強くアピールし、技術力を重視する企業としての認知度を高めます。
- 技術への投資姿勢を示すことで、エンジニアからの信頼感を醸成し、将来的な採用活動につなげるためのカジュアルな接点を作ることを目指します。
2. サービスやブランドの認知向上
- 「クラシル」や「クラシルリワード」といった自社サービスを、Rubyコミュニティに向けて広くアピールします。
- ブースという直接的なコミュニケーションの場を通じて、delyという会社の良さや、サービスの魅力を効果的に伝えます。
3. 最新技術動向の情報収集
- Rubyに関する最先端の技術トレンドを把握し、今後のサービス開発に活かすための知見を得ます。
- 他社のエンジニアとの交流を通じて、現場のリアルな声を聞き、自社サービスの現状を客観的に評価する機会とします。
4. エンジニアとの交流
- 他のIT企業のエンジニアと直接会話し、情報交換や意見交換を行うことで、Ruby業界におけるネットワークを構築します。
自社のブースについて
delyのブースでは、多くの方に親しまれているレシピ動画サービス「クラシル」にちなみ、「旬の食材クイズ」をご用意しました。
旬の食材クイズ
難易度の高いクイズでしたが、多くの方に挑戦していただき、「面白い!」「意外と難しい!」といったポジティブな感想をいただくことができました。
参加者の方々が楽しみながら、旬の食材について知識を深める良い機会になったのではないかと思います。
多くの正解を獲得した方にはコースターやキャンドルをプレゼントしました。
YouTube 金の盾の展示
「クラシル」ではYouTube公式チャンネルを運営しております。
ブースにはYouTube登録者数が100万人を突破した際に贈られる 「金の盾」 を展示しました。
- 「本物を初めて見た!人気のYouTuberがもらっているやつだよね」
- 「写真撮っても良いですか?触ってもいいですか?」
など、非常に多くの反響があり、多くの方に興味を持っていただけたようです。
AI関連技術やサービス概要の紹介
ブースのモニターでは、delyにおけるAIの取り組みや、提供しているサービスの概要を紹介しました。特にAIに関する質問が多く、参加者の皆様の関心の高さを肌で感じることができました。
他社のブースについて
他のスポンサー企業のブースも非常に興味深く、各社が工夫を凝らした展示や企画を行っていました。
魅力的な企画の数々
- SNSフォローでオリジナルグッズをプレゼント
- ボードにシールを貼って簡単なアンケートに答えるとグッズをプレゼント
- Rubyに関する知識を競うプログラミングクイズ
- 会場全体を使った宝探しゲーム
豊富なノベルティ
- 実用的なトートバッグやエコバッグ
- 持ち運びやすいキーホルダー
- コレクションしたくなる缶バッジやステッカー
- 自社ロゴ入りのお菓子
各社のブース運営から、参加者を楽しませ、自社の技術やサービスを効果的にアピールするための様々なアイデアを学ぶことができました。
セッション
イベント中は多くのRubyistが登壇し、技術的な発表を行っていました。
今回、私が個人的に見たセッションを3つご紹介します。
Automatically generating types by running tests
- RBS::Traceというgemを用いて、テスト実行時に動的に関数の引数と戻り値の型情報を収集し、RBS型ファイルを自動生成するという内容でした。
- 現在delyでは、まだ積極的に型導入が進められていない状況ですが、IDEの補完精度の上昇などのメリットがあり、個人的には型推進派なので積極的に取り入れていきたいと思いました。
- 弊社ではRSpecテストを普段から書いているため、テストを実行するだけで型定義ファイルが作成されるというのは非常に魅力的です。
- 仮にこの仕組みで型情報をメンテナンスしていく場合、テストの品質をしっかりと担保する必要があるという点は留意しておきたいです。
Speeding up Class#new
こちらはスライドを見つけられませんでした...
代わりにRubyKaigiのページを貼り付けておきます。
- Rubyのインスタンス初期化(
Class#new
)の高速化に関するセッションでした。 new
の引数を処理する際に、内部的にRubyからC言語のコードが呼び出され、さらにそこからRubyのコードが呼ばれるため、処理が遅くなっているという説明がありました。- inline cacheなどの技術を用いて速度改善を図るという話だったと理解していますが、低レイヤーな内容で完全に理解するには至りませんでした。
rb_class_alloc
やrb_call
といったキーワードが出てきた記憶があります。- もしこのセッションに関する参考文献などがあれば、ぜひ教えていただきたいです。
Analyzing Ruby Code in IRB
- irbのメンテナの方によるセッションでした。
- Rubyistたちが普段何気なく利用しているirbですが、シンタックスハイライトやインデント機能などがありハイテクです。これらの機能がどのように実現されているのかという、irbの内部的な動きについて解説されていました。
- コードの解析には
Ripper::Lexer
がこれらの処理に使われているとのことでしたが、これをPrism
に置き換えたら… という話もあり、非常に興味深い内容でした。普段使っているツールの裏側の仕組みを知る良い機会になりました。
DrinkUpでの交流
RubyKaigi期間中には、多くのスポンサー企業が主催するDrinkUp(懇親会)が開催され、私もそのうちの一つに参加してきました。
どのようなDrinkUpイベントがあったかは公式サイトのEventページにもまとめられています。
美味しい食事とお酒を堪能しながらのエンジニアとのコミュニケーションの場ということで、RubyKaigiの本編よりも、より踏み込んだ現場の話や、業界の動向について意見交換をすることができ、非常に有意義な時間となりました。やはりここでもAI時代にITエンジニアたちはどう戦っていくのかと言うような話題が上がっていました。
本編に負けないくらいDrinkUpの運営に注力しているという企業もいて、次回以降弊社でもRubyKaigiにどのような形で参画していくかを考える機会にもなりました。
最後に
今回のRubyKaigi 2025への参加を通して、最新のRuby技術に触れるだけでなく、多くのエンジニアの方々と交流することができ、非常に貴重な経験となりました。delyとしても、今回の経験を活かし、更なる技術力の向上とコミュニティへの貢献を目指していきたいと思います。
引き続き、delyのテックブログでは、技術に関する様々な情報を発信していきますので、ぜひご期待ください!