dely Tech Blog

クラシル・TRILLを運営するdely株式会社の開発ブログです

デザイナーがローンチ時点からスケールに備えるメリット

クラシルリワード プロダクトデザイナーのredです。 クラシルリワードでは、新規事業の立ち上げから担当しており、現在はデザインとプロダクトマネジメントの兼務で開発に携わっています。

クラシルリワードではアプリのローンチ時点でデザインシステムを構築しており、グロースフェーズである現時点でもローンチ時点で設計したものを運用してデザイン・開発を効率的に進めることができています。 そこで今回は、0→1段階でプロダクト・事業のスケールを見越してデザインシステムを構築することのメリット等について書いていきます。

ローンチ時点でデザインシステムを構築するメリット

この記事では、プロダクト開発においては「ローンチ→PMFを目指す→グロース」の3つのフェーズがあるという整理で話を進めます。

ローンチ時点でスケールに備えることが必要だと考える理由とそのメリットについては、以下のようなものがあると考えています。

1.PMF達成へのスピード感のある開発

プロダクトのローンチからPMFを達成するまでの道のりでは、大なり小なりアップデートを重ねて試行錯誤する開発が必要になるかと思います。この過程で開発サイクルのスピードを上げるために、効率的な開発の土台となるデザインシステムがローンチ時点で存在することは重要だと考えています。ローンチ時点から生産性の高い状態にしておくことで、PMF到達に向けた開発サイクルのスピードを上げることにも繋がります。

2.チーム拡大への対応

PMFを達成すると、多くの場合、プロダクトのさらなる成長を目指してリソースが増えチームが拡大するかと思います。人が増えると、生産性と品質の維持向上のためデザインシステムの重要性は更に増していくため、0のタイミングから組織のスケールに対応しやすい状態にしておくことは有用であると考えています。

3.グロースへの集中

グロースフェーズに突入すると、プロダクトの成長スピードを更に上げるために、機能追加やKPI改善に全集中する組織力学が働くケースが多々あるかと思います。そういったケースが発生している場合や、機能追加・改善を重ねて複雑性が増した状態で、いざ負債を返済しましょう、デザインシステムを作りましょうという話になると、ローンチ前に構築するよりもコストがかさみ、重めの意思決定になることが予想されます。「ローンチ後にやろう」「いつかやろう」はなかなか来ないものだと考えて、先んじて基盤を用意しておいた方が生産性向上の恩恵を受ける面が大きいのではないかと考えています。

意識したいこと

上記の考え方を取り入れる上で意識しておきたいことは以下になります。

  • 当然、0→1を成功させるためローンチ→PMF達成が至上命題であり第1優先事項。0→1時点でデザインシステムを構築すること自体はPMF達成の必要条件ではない。1→10以降のデザイン・開発効率をスムーズに進めるための手段であること。

  • 再利用性が低い要素をコンポーネントとして不必要に定義しないなど、オーバーエンジニアリングにならないように注意を払うこと。また、再利用性の低いユニークな要素が生まれることを許容し寛容になること。

  • 0→1デザイン段階で見えているプロダクトのビジョン・青写真を可能な限りインプットして、再利用性が高いもの・高くなりそうなものを予測する。プロダクトをこれから長く運用することを想定して、デザインシステムに一貫性や柔軟性をもたせる。

  • デザインシステムを最初から完璧な設計にするのは不可能であり、プロダクトと同様にリリース後の改善・運用が必要なものと捉える。

これらの点を意識することで、0→1の段階でデザインシステムを構築する際のバランスを見極め、長期的な視点でプロダクトの成長をサポートする土台を築くことを目指すのが理想です。

まとめ

クラシルリワードはリリースから1~2年ではありますが、頭をかかえる程のデザイン的負債はなく、生産性高くデザインを進めることができてきました。 ローンチ以降、機能追加・改善を順調に積み重ねてきており、0のタイミングで長期を見据えたデザインシステムを構築することによる恩恵を受けることができました。

無論、最も重要なのは仮説検証を進めるための速やかなローンチではあるのですが、作る前から未来のスケールに備えることには一定の価値があると考えています。

これから0→1をやるプロダクトデザイナーの方にとって何かしらの参考になれば幸いです。